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745.『唯信鈔』、『唯信鈔文意』を読む(32):無碍の一道(5)

20210517薬師堂s

 今回は、親鸞聖人が取り上げられた2番目の偈頌の、3句目と4句目について学びます。該当の句は太字の部分です。
 (聖人が取り上げられた2番目の偈頌は全体で8句なのですが、これまでそのうちの6句しか記しておりませんでした。今回初めて気づきました。引用する際に原文からコピーをするのですが、その際に抜けてしまっていたようです。お詫び申し上げます。)

  彼仏因中立弘誓 聞名念我総迎来
  不簡貧窮将富貴 不簡下智与高才
  不簡多聞持浄戒 不簡破戒罪根深
  但使回心多念仏 能令瓦礫変成金

  不簡貧窮将富貴 不簡下智与高才(貧窮とまさに富貴とをえらばず 下智と高才とをえらばず)

 以下に、ご文と現代語訳を記します。

 「不簡貧窮将富貴」といふは、「不簡(ふけん)」はえらばず、きらはずといふ。「貧窮(びんぐ)」はまづしく、たしなきものなり。「将(しょう)」はまさにといふ、もつてといふ、ゐてゆくといふ。「富貴(ふき)」はとめるひと、よきひとといふ。これらをまさにもつてえらばず、きらはず、浄土へゐてゆくとなり。 
 「不簡下智与高才」といふは、「下智(げち)」は智慧あさく、せばく、すくなきものとなり。「高才(こうざい)」は才学(さいかく)ひろきもの、これらをえらばず、きらはずとなり。 

 (「不簡貧窮将富貴」というのは、「不簡」とは、選び捨てない、嫌わないということである。「貧窮」とは、貧しく、苦しみ困っているもののことである。「将」は「まさに」ということであり、「もつて」ということであり、連れて行くということである。「富貴」とは、裕福な人、身分の高い人ということである。これらの人々を、まさに選ぶことなく、嫌うことなく、浄土に連れて行くというのである。
 「不簡下智与高才」というのは、「下智」とは、智慧が浅く、狭く、少ないものというのである。「高才」とは、才能が豊かで学のあるもののことであって、これらの人々を選ぶことがなく、嫌うことがないというのである。)

 聖人は、前回の第2句で「総迎来」という言葉で、阿弥陀さまが誓われた、衆生を残すことなく救うという第十八願は、あらゆる人々に向けられていると説かれました。そのことを、今回の第3句以降で具体的に示されます。
 第3句では、貧しい人も富める人・高貴な人も、第4句では、智慧の浅い人も才学の広い人も、だれも選ばず嫌わずに取り残すことなく救われるのだとお伝えいただいています。

 聖人は、「将」という字には、「まさに」「もつて」「率てゆく」という3つの意味があると記されています。
 これらの意味を踏まえて聖人は、「これらをまさにもつてえらばず、きらはず、浄土へゐてゆくとなり。(これらの人々を、まさに選ぶことなく、嫌うことなく、浄土に連れて行く)」と釈しておられます。

 この「将」の字について漢和辞典を調べてみますと、たくさんの意味があることが分かりました。手元の大修館発行の『新漢和辞典』では、35もの字義が挙げてありました。

 その最初に、「ひきいる」と読まれる例が取り上げられています。
 これには、「将軍」などの言葉が該当するものでしょう。聖人が「率てゆく」と説かれた部分に当たります。だれも漏らすことなくお浄土に「連れて行く」という阿弥陀さまのお救いの姿を述べられています。

 辞典では次に「まさに」と読まれる例が記されています。漢文で再読文字と呼ばれていますが、「まさに・・(せんと)」とか「まさに・・し」という形で使われ、動作が起ころうとする状態を表したり、後者では「当」と同義で、そうすべきだという意味を表すとされています。前者の例では「将来」という言葉がその意味を表しています。

 聖人が解された「もつて」の字義は、漢和辞典では「以」と同じとされている字義だと思われます。
 このように、聖人は「将」の字義を用いて、阿弥陀さまのお救いは、貧窮と富貴とを選ばず下智と高才とを差別することなくあらゆる衆生に向けられたものだとお伝えいただいています。

(お知らせです)

 以前、ご案内していました5月16日開催予定の「スクール・ナーランダvol.6」のプレイベントは、コロナウイルス感染拡大を受けて、6月30日に延期となりました。

(写真は、宇部市芦河内(あしがわち)にある「薬師堂」と呼ばれている建物です。)

 この建物は応永元年(1394年)の建立とされ、阿弥陀如来の立像を始め薬師如来立像、毘沙門天立像など室町時代の像が安置されています。県内にあるお堂のなかでも整った姿をしているとされ、県の有形民俗文化財に指定されています。 
 ことし3月に約20年ぶりに茅葺屋根の葺き替えが行われ、新しい姿になりました。ちょうど通りかかったときに、田植えが終わった田にその姿が映っていました。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)
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