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735.『唯信鈔』、『唯信鈔文意』を読む(30):名号の讃嘆(19)

20210416ヤマブキs  20210416ヤエヤマブキs

 引き続き、聖覚法印が『唯信鈔』の中で、法蔵菩薩があらゆる衆生を救いたいと願われた所以を述べられた部分について学びます。
 御文と現代語訳です。

  かくのごとく、微妙厳浄(みみょうごんじょう)の国土をまうけんと願じて、かさねて思惟したまはく、国土をまうくることは衆生をみちびかんがためなり。 
 国土妙なりといふとも、衆生生れがたくは、大悲大願の意趣にたがひなんとす。これによりて往生極楽の別因を定めんとするに、一切の行みなたやすからず。孝養父母(きょうようぶも)をとらんとすれば、不孝のものは生るべからず。読誦大乗(どくじゅだいじょう)をもちゐんとすれば、文句をしらざるものはのぞみがたし。布施・持戒(ふせ・じかい)を因と定めんとすれば、慳貪・破戒(けんどん・はかい)のともがらはもれなんとす。忍辱・精進(にんにく・しょうじん)を業とせんとすれば、瞋恚・懈怠(しんに・けだい)のたぐひはすてられぬべし。余(よ)の一切の行、みなまたかくのごとし。 
 これによりて一切の善悪の凡夫ひとしく生れ、ともにねがはしめんがために、ただ阿弥陀の三字の名号をとなへんを往生極楽の別因とせんと、五劫のあひだふかくこのことを思惟しをはりて、

(このように、浄らかでみごとに荘厳された国土を建立しようと願われて、さらに重ねて深く思いをつづけられました。荘厳な国土を建立されたのは、その国土に人びとを導くためであります。
 いかに浄くすぐれた国土でも、人びとの生まれることが困難であれば、大いなるあわれみをもってたてられた願いのお心と違ってしまいます。お浄土に生まれることのできる因を定めようとされましたが、すべての行のいずれをとっても容易ではありません。父母に孝養することを往生の因とすれば、親不孝の者は生まれることができません。経典を読誦することを因として用いようとすれば、字を知らないものは望むことができません。人に物を施したり戒律を守ることを因と定めれば、物惜しみをする者や戒律を破った者は除かれてしまいます。耐え忍ぶこと、努め励むことをもととすれば、いかり憎む心やなまけ心のある者は捨てられてしまいます。そのほか、すべての行もみな同じです。
 このようなわけで、すべての善悪に悩み苦しむ人びとが、ともに願ってひとしく往生できるようにと、ただ阿弥陀の三字を称えることを往生の因としたいと、五劫というたいへん長い時をかけて、深く思いつづけられ、)

 聖覚法印は今回の部分で、素晴らしい国土(お浄土)を建立していただいても、そこに至る因として様々な行を成し遂げることを求められるのであれば、それができない私たちには往生の道はないことになる、と具体的な例を挙げて示されます。そして、そのような私たちのために、ただ阿弥陀さまの御名をとなえることを因としたいと、五劫という長い間考えを巡らされた、とお伝えいただいています。

 このように、聖覚法印は様々な行を行い難い私たちを救いたいと、法蔵菩薩は南無阿弥陀仏の名号を称えるという道をご準備いただいたのだと説かれます。それはまた、親鸞聖人が、『唯信鈔文意』に「如来の弘誓をおこしたまへるやうは、この『唯信鈔』にくはしくあらはれたり」と記されたところでもあります。

 そして、『唯信鈔』の御文はこの後、以前に学びました部分につながっていきます。

(写真は、ヤマブキの花です)

 ちょうど今頃、文字通り山吹色が緑に映えて美しい花です。
 左がヤマブキ(一重の花:明石公園で出会いました)、右はヤエヤマブキ(八重山吹:昨日藤ケ瀬で)です。八重のものが好まれてこちらの方が多く、一重の方を見かけることは少ないようです。

 お年寄りのご門徒さんが、「ヤマブキの花を見ると祖母のことを思い出します」と聞かせていただいたことがありました。その方は、子どもの頃におばあさんに連れられて山を越えて寺の法座にお参りしておられたのだそうです。その途中、ヤマブキの花を見かけたおばあさんが「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」という和歌と太田道灌の逸話について話をされたのだそうです。
 もう何十年も前のことなのでしょうが、懐かしそうに話をしておられました。

 調べてみますと、ヤマブキも一重のものは実を結ぶのだそうです。しかし、広く好まれた八重咲の方は雄蕊が退化して花弁になったもので実をつけず、その結果ヤマブキは実をつけないと考えられるようになったのだとか。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください) 
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