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721.『唯信鈔』、『唯信鈔文意』を読む(23):名号の讃嘆(15)

20210226六甲氷瀑s 
 親鸞聖人は『唯信鈔文意』を著され、聖覚法印が『唯信鈔』の中で記された偈頌について、私たちにその意味をお説きいただきました。私たちは、これまでその最初の偈頌4句について学んで来ました。今回の部分で、聖人はこの最初の偈頌について、改めてその総意をお説きになります。4句の偈頌をもう一度見てみます。

   如来尊号甚分明 十方世界普流行
   但有称名皆得往 観音勢至自来迎
  (如来の尊号は、はなはだ分明なり。十方世界にあまねく流行せしむ。
   ただ名を称するのみありて、みな往くことを得。観音・勢至おのづから来り迎たまふ)

 以下、今回の部分のご文と現代語訳です。

  おほよそ十方世界にあまねくひろまることは、法蔵菩薩の四十八大願のなかに、第十七の願に、「十方無量の諸仏にわがなをほめられん、となへられん」と誓ひたまへる、一乗大智海(いちじょうだいちかい)の誓願(せいがん)成就したまへるによりてなり。 『阿弥陀経』の証誠護念(しょうじょうごねん)のありさまにてあきらかなり。証誠護念の御こころは『大経』にもあらはれたり。また称名の本願は選択(せんじゃく)の正因たること、この悲願にあらはれたり。この文(もん)のこころはおもふほどは申さず、これにておしはからせたまふべし。 

(如来の尊号がすべての世界のすみずみにまで広く行きわたるということは、法蔵菩薩の四十八願のなか、第十七願に「すべての世界の数限りない仏がたに、わたしの名号をほめたたえられ、称えられよう」とお誓いになった、一乗大智海の誓願を成就されたことによるのである。それは『阿弥陀経』に、あらゆる仏がたが念仏の法を真実であると証明し、念仏の行者をお護りになると示されていることによって明らかである。そのおこころは『無量寿経』にもあらわされている。
 また、称名念仏が誓われた第十八願は、阿弥陀仏が選び取られた浄土往生の正しい因であることが、この第十七願にあらわされている。
 この文の意味は、十分にいうことができていないけれども、これらのことによってお考えいただきたい。)

 聖人は、最初の2句「如来尊号甚分明 十方世界普流行」を、「すべての世界の数限りない仏がたに、わたしの名号をほめたたえられ、称えられよう、と誓われた第十七願が成就したことにより、南無阿弥陀仏の名号が十方世界にあまねくひろまった。」と説かれ、次いで「そのことは、『仏説阿弥陀経』で諸仏が念仏の法が真実であることをを証明しておられることからも明らかであり、『仏説無量寿経』にもそのことがあらわされている」と説かれます。

 第十七願を見てみます。
 設我得佛 十方世界 無量諸佛 不悉咨嗟 稱我名者 不取正覺
 「たとひわれ仏を得たらんに、十方世界の無量の諸仏、ことごとく咨嗟して、わが名を称せずは、正覚を取らじ。」
 (わたしが仏になるとき、すべての世界の数限りない仏がたが、みなわたしの名をほめたたえないようなら、わたしは決してさとりを開きません。)

 梅原真隆師は、聖人は第十七願を「わがなをほめられん、となへられん」と受け止められて、それまで解されていた「仏徳称讃」にとどまらず、「称揚(諸仏がほめらたたえ)」と「称念(諸仏が名号をとなえ)」の二つの姿を見出されたとされ、これを「親鸞聖人の卓抜な己證である」としておられます。聖人は、その第十七願が成就し、名号があまねくひろまったことにより、第十八願の十方の衆生を摂取するという願いを成就することを得た、とされます。 
 そして、「また称名の本願は・・」以下の部分で、聖人は「但有称名皆得往 観音勢至自来迎」の2句の意を、「称名念仏の一行により往生をとげることができるという称名の本願(第十八願)の誓いは、この悲願(十七願)が成就されたことによる」とされます。

 このように、親鸞聖人は、今回の4句を通じて、第十七願が成就し名号があまねく流行することにより、あらゆる衆生を摂取したいという第十八願が成就するという、両願の不離の関わりについてお示しいただきました。

 (写真は、再び寒そうな風景ですが、六甲山の「七曲りの滝」です。)
 
 以前にもこの滝の写真を使ったことがありますが、そちらは2010年の冬の写真、こちらは2008年2月16日の撮影です。
 この滝に行く道は、夏場は何ということもないコースなのですが、冬には雪が固まった山道を昇り降りし、滑りやすい岩を歩いてどり着くようなところでした。視界が開けてこの「氷瀑」が目の前に表れると疲れもとれる思いでした。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)
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