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713.『唯信鈔』、『唯信鈔文意』を読む(21):名号の讃嘆(13)

20210129アニメ来迎図s 

 親鸞聖人は、続いて「来迎」の「来」についてその意味をお示しになります。以下ご文と現代語訳を載せます。

 「来迎(らいこう)」といふは、「来(らい)」は浄土へきたらしむといふ、これすなはち若不生者(にゃくふしょうじゃ)のちかひをあらはす御(み)のりなり。穢土(えど)をすてて真実報土(ほうど)にきたらしむとなり、すなはち他力をあらはす御ことなり。 
また「来」はかへるといふ、かへるといふは、願海(がんかい)に入(い)りぬるによりてかならず大涅槃(だいねはん)にいたるを法性(ほっしょう)のみやこへかへると申すなり。法性のみやこといふは、法身(ほっしん)と申す如来のさとりを自然(じねん)にひらくときを、みやこへかへるといふなり。これを真如実相(しんにょじっそう)を証(しょう)すとも申す、無為法身(むいほっしん)ともいふ、滅度(めつど)に至るともいふ、法性の常楽(じょうらく)を証すとも申すなり。このさとりをうれば、すなはち大慈大悲きはまりて生死海(しょうじかい)にかへり入(い)りてよろづの有情(うじょう)をたすくるを普賢(ふけん)の徳に帰せしむと申す。この利益(りやく)におもむくを「来」といふ、これを法性のみやこへかへると申すなり。 

 (「来迎」というのは、「来」は浄土へ来させるということである。これはすなわち若不生者と誓われた本願をあらわすみ教えである。この迷いの世界を捨てて真実の浄土に来させるというのである。すなわち他力をあらわすお言葉である。また「来」は「かえる」ということである。「かえる」というのは、本願の海に入ったことにより必ず大いなるさとりに至ることを、「法性の都へかえる」というのである。法性の都というのは、法身という如来のさとりを本願のはたらきによっておのずと開くとき、そのことを「都へかえる」というのである。これを真如実相を証するともいい、無為法身ともいい、滅度に至るともいい、法性の常楽を証するともいうのである。このさとりを得ると、すなわち大いなる慈悲の心が極まり、再び迷いの世界にかえり入ってあらゆるものを救うのである。このことを普賢の徳を得るという。この利益を得ることを「来」といい、このことを「法性の都へかえる」というのである。)

 聖人は、「来」に二つの字義があるとされます。

 その一つ、「来」は「きたらしむ」の義、迷いの世を捨ててお浄土に来させる、ということだと記されます。「こさせる」のですから、これは私たちがそうしたいと願い、私たちが努力してお浄土にいくのではありません。阿弥陀さまが、迷いに苦しむ私たち救おう、お浄土に来なさい、という「他力」をあらわす言葉です。

 ついで聖人は、「来」は「かへる」の義だとされます。ご本願にお遭いし、さとりを得、「法性の都」阿弥陀さまのみもとに「かえる」ことだとされます。さらに、さとりを得て阿弥陀さまのもとにかえったのちに、再びこの迷いの世にもどり、あらゆるものを救うのだと示されます。このお浄土にかえる(往相)とふたたび迷いの世にかえる(還相)の両方をもって「法性のみやこへかへる」とお示しいただいています。

 ここで、留意しておかなければならないことは、この「来迎」は私たちの命が終わる臨終を迎えていただくものではないということです。阿弥陀さまのご本願にお遭いすることができ、真実の信心をいただくことができれば、その時に往生は定まるのだ、と説かれます。
 平安時代の貴族は、往生を求め枕元に立てた「来迎」の絵図に紐を結び、それを手に握って臨終のときを迎えたと伝えられています。そこには、往生できるかどうかは、臨終のときにならないと分からないという不安な思いがありました。かつてご講師が、自力で往生を求める「諸行往生」を入学試験の結果を待っている受験生に例えられたことを思い出します。
 親鸞聖人は、「真実信心の行人は、摂取不捨のゆゑに正定聚の位に住す。このゆゑに臨終まつことなし、来迎たのむことなし。信心定まるときに往生また定まるなり。」(『親鸞聖人御消息』)と、阿弥陀さまのご本願によって信心をいただいたその今、臨終を待たずして往生は間違いないものになるのだとお示しいただきました。

(図は、アニメ「かぐや姫の物語」の最後に見られた「来迎図」です。)

 このアニメはスタジオジブリが制作したもので、2013年に公開されました。かぐや姫が月にかえる様子を描いたもので、バックに流れていた音楽とともに印象に残る場面でした。当然のことながら、以前このブログで見ました「来迎図」とは違った雰囲気になっていますが、「来迎を迎えた喜び」といった共通するものも感じます。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)

 
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