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712.『唯信鈔』、『唯信鈔文意』を読む(20):名号の讃嘆(12)

 20210125高見山樹氷s

  親鸞聖人が『唯信鈔文意』で取り上げられた最初の偈頌の第4句を学んでいます。

 最初の偈頌、4句です。

  如来尊号甚分明 十方世界普流行
  但有称名皆得往 観音勢至自来迎

 聖人は「自来迎」について説かれ、前回の部分で、阿弥陀さまがたくさんの仏さまや観音・勢至菩薩の姿で「自ら」私たちのところにおいでいただいて護っていただく、と「自」の意味を伝えていただきました。
 今回は、「自」の二つ目の釈です。少し長いですけが、現代語訳とともに記します。

 また「自」はおのづからといふ、おのづからといふは自然(じねん)といふ、自然といふはしからしむといふ、しからしむといふは、行者のはじめてともかくもはからはざるに、過去・今生(こんじょう)・未来の一切の罪を転ず。転ずといふは、善とかへなすをいふなり。もとめざるに一切の功徳善根(くどくぜんごん)を仏のちかひを信ずる人に得しむるがゆゑにしからしむといふ。 
 はじめてはからはざれば自然といふなり。誓願真実の信心をえたるひとは、摂取不捨(せっしゅふしゃ)の御(おん)ちかひにをさめとりてまもらせたまふによりて、行人のはからひにあらず、金剛の信心をうるゆゑに憶念(おくねん)自然なるなり。この信心のおこることも釈迦の慈父(じぶ)・弥陀の悲母(ひも)の方便によりておこるなり。これ自然の利益(りやく)なりとしるべしとなり。
 

 (また「自」は「おのずから」ということである。「おのずから」というのは「自然(じねん)」ということである。「自然」というのは「そのようにあらしめる」ということである。「そのようにあらしめる」というのは、念仏の行者があらためてあれこれと思いはからわなくても、過去・現在・未来のすべての罪を転じるのである。「転じる」というのは、罪を善に変えてしまうことをいうのである。求めなくても、すべての善根功徳を、仏の誓願を信じる人に得させてくださるから、「そのようにあらしめる」という。
 あらためて思いはからうのではないから、「自然」というのである。本願に誓われた真実の信心を得た人は、摂取不捨と誓われたその本願のうちに摂め取って阿弥陀仏がお護りになるのであるから、行者が思いはからうのではなく、決して壊れることのない他力の信心を得ることにより、おのずと本願を心にたもつことができるのである。この信心がおこることも、慈しみあふれる父である釈尊とあわれみ深い母である阿弥陀仏の手だてによるのである。これは本願のはたらきによっておのずから得る利益であると心得なさいということである。)

 聖人は、今回の部分で「自」は「おのずから」という意味であると示しておられます。「おのずから」というのは「そのようにあらしめる」という意味であって、私たちがあれこれと思いはかり求めるからではなく、阿弥陀さまの他力のおはたらきによるものだと示されます。

 そして、その阿弥陀さまの他力のおはたらきを示すものとして、聖人は一切の罪を転じて善をなす(転悪成善)ということをあげておられます。この「転悪成善」は、他力信心の行者が現世で得ることができる十種の利益(りやく)の一つとされているものです。
 普賢晃壽師は「罪障功徳の体となる こほりとみづのごとくにて こほりおほきにみづおほし さはりおほきに德おほし」という『高僧和讃』の1句をあげておられます。ちょうど氷が溶けて水になるように、罪の障りはそのまま転じられて功徳となる、罪障の氷が多ければ多いほどそれが転じた水も多くなるのだ、と聖人は示されました。その罪障を功徳に転じるのは、私たちがそうしたいと望み、励むから可能になるのではなく、それは阿弥陀さまの他力のお力によるものだとされました。

 このように、前回と今回の2回で、聖人は「自」という語について説かれました。
 「自」というのは、多くの仏方が私たちを護ろうと「みずから」おいでいただいているお姿であり、また「自」というのは、私たちがたくさんの罪障りを持ちながら救われる姿に転じることができるのは私たちがそうして欲しいと思い計らうからではなく、阿弥陀さまの他力のおはたらきによって「おのずから」そうなるのだと、とお示しいただいたのです。

(写真は、2005年2月に高見山で出会った景色です。真冬に寒そうな写真で申し訳ありません。)

 「エビの尻尾」と呼ばれる現象で、木についた氷が風上に向かって伸びていったものです。
 「高見山」はお相撲さんの名前みたいですが、奈良県と三重県の県境にある標高1,248メートルの山で、「関西のマッターホルン」とも呼ばれているそうです。
 寒い日でしたが、山を下りてからの温泉とビールが記憶に残っています。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)

 
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