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610.ご紹介します(23):「妻のトリセツ」

20200131表紙s   20200131裏表紙s

  今日ご紹介しますのは、「妻のトリセツ」というタイトルの本です。著者は、黒川伊保子さんという人で、この本は40万部も売れたベストセラーになっているのだそうです。

 「トリセツ」というのは「取扱説明書」の略ですが、この本はややこしくて理解できない(?)妻の取り扱い方のポイントを男性に教えてくれるというものです。著者は「はじめに」の部分で次のように記しています。
 「本書は、脳科学の立場から女性脳の仕組みを前提に妻の不機嫌や怒りの理由を解説し、夫側からの対策をまとめた、妻の取扱説明書である。(中略)プロの夫業に徹することで、その結果、妻から放たれる弾を10発から5発に減らそうというのが、本書の目的である。」

 黒川さんによりますと、夫婦(だけではなく男女一般)の間に生じるすれ違い、感覚の違いは女性脳と男性脳の違いからきているのだそうです。この男性脳、女性脳というのは、太古の昔から引き継がれてきた男性、女性の固有の役割からする固有の思考、行動パターンで、狩りに出かけ獲物を持って帰る役割の男性と、誕生したか弱い嬰児を時間をかけて育てていく女性という機能に由来する特徴だ言われます。
 
 男性脳にとっては、置かれた状況を判断し獲物を得るという「事実」が大事になります。一方、女性脳の根底にあるのは「心」だと黒川さんは言います。女性同士の会話で、「そうそう」「わかるわかる」という言葉が多く使われている(そうですが)ように、共感する「心」が、共同して子供を育てるということにつながり、子孫を残す有効な手段になるということです。そして、女性脳にはこの「心」の通信線と「事実」の通信線があってその「心」の方で相手につながろうとする一方、男性脳では「事実」の通信線が強く働き、女性脳からの「心」の通信を受け止めることができずにいることが様々な「トラブル」の根底にあるのだと黒川さんは言います。

 黒川さんが具体的な事例として本書で取り上げていたのは次のような会話です。
 妻から「〇〇(子どもの名前)が、寝かせると泣くから、ずーっと抱っこしていて、腰が痛くなった」と訴えられたとする。その場合になんと答えるべきか。
 ①「抱き癖がついたんじゃないか。泣いても抱くのをやめたら」
 ②「明日、病院に行って、腰を診てもらえよ」
 このどちらもだめと黒川さんは言います。夫は妻から言われたことに対して解決法を提示していますが、妻が求めているのは解決法(事実の通信線)ではなくて、共感(心の通信線の方)なので、正解は「一日中、抱っこしてたの?そりゃ腰だって痛くなるよ。本当に大変だったね」です。

 さらにこのような会話は、言った夫の方は忘れてしまうことが多いのですが、出産から育児期にかけて「満身創痍」状態の奥さんの方にはネガティブな記憶として強く残されて、後で夫からすれば「なんで今頃・・」というようなときに出てくるのだということです。

 私たちは様々な場面で行動し言葉を発します。それが自分本位で相手のことを考えたものでない場合は論外ですが、「相手のために」良かれと思って行ったことが通じていない、場合によっては相手の「地雷を踏む」(本書の中の言葉です)結果になったという経験をすることがあります。この場合本人には相手のことを考えた上だという意識がありますから、行った本人は「なんで?」と極めて不本意、ということになります。
 上記のような男性脳、女性脳の違いというものを知ると、なるほど通信線が合致していなかったのか、と思い当たります。またこのようなことは、相手が女性であろうと男性であろうと生じ得ることだということにも思い至った次第です。いわば通信線が通じていない状況で、相手がどのような状態にあるのかということも考えずにとった「善意による」行動も、そのまま伝わらないこともあるということです。
 自分中心の行動はもとより、相手のことを考えた行動もこの通信線を合わせたものでなければならない、ということを改めて認識した次第です。

 それともう一つ、黒川さんも言っておられましたが、多様性の確保も大事だということです。太古の昔から男性と女性はそれぞれ特徴ある能力を強化発揮して生き延びてきました。その意味では、男性脳、女性脳それぞれがしっかりと発揮されることがこれから人類が生き延びていくために必要なことだと思われます。黒川さんが言われるのも、両方の脳はその違いも含めて強化しつつも、途切れてしまいがちになる通信線はしっかりと確保することが必要だということなのでしょう。

(図は、本の表紙と裏表紙です)

 帯にある「読者から感謝・納得の声が殺到しています!」の中にこんな声が紹介されていました。( )内は私の声です。
 「ただいま”座右の書”として活躍中。でも30年前に本書に出会えていればよかった」・・男性60歳代
 (ご同輩、同感ですなあ)
 「おかげさまで、結構な確率で妻の地雷をかわせるようになりました」・・男性30歳代
 (お若いの、間に合ってよかったねえ)

 この本に興味を持ったのは、『週刊文春』に連載されている対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」に黒川さんが登場されていたことによります。
 同じ著者による『夫のトリセツ』も最近出版されているそうでが、当初『夫のトリセツ』の方は売れないだろうとされていたようです。対談の中でも、「妻から夫を見ると「私の取扱いが悪いからじゃなくて夫がポンコツだから」と故障した車のトリセツを誰が買いますか、」(この部分には笑ってしまいましたね)と不安視されていたことが紹介されていましたが、あにはからんや発売1カ月半で11万部が売れたとのことで、こちらも面白そうです。(廃車にならんようにせねば)

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)
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No title

興味深く拝読させて頂きました。しかし…ご住職さまの人間社会に対するアンテナの多さに感服です(笑)!確かに「トリセツ」という言葉に抵抗ありますが、内容に頷けることも多々あります。また、夫でなく妻にトリセツがあるのが面白いです。
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