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599.最近の話題「秋吉台の赤土のひみつ」

20191220チラシ  20191220セイタカアワダチソウ

  12月15日、山口大学秋吉台アカデミックセンターの主催で、「秋吉台の赤土のひみつ」という講演会がありました。たまたま図書館でこの催しの案内を見て、面白そうだと聞きに出かけたものです。

 講演会は4名の講演者がそれぞれ次のテーマで講演をされました。
 〇「秋吉台の土はどんな色?どんな性質?」(山口大学大学院創成科学研究科 柳由貴子氏)
 〇「秋吉台の土は何でできている?秋吉台の歴史と土とのかかわり」(森林総合研究所関西支所 岡本透氏)
 〇「秋吉台の土が支える生物多様性」(九州大学大学院農学研究院 平館俊太郎氏)
 〇「炭からわかる山焼きの歴史 秋吉台と他地域を比べると?」(京都精華大学人文学部 小椋純一氏)

 これらのテーマに共通していることは、秋吉台の土(土壌)ということになるのでしょうか。私も秋吉台が好きで時間を見てはあちらこちらを歩いていて植物については興味を持って見ていましたが、「土」については余り意識をすることがありませんでした。

 これらの講演を聞いて、私がこれまで漠然と思っていた秋吉台の姿が随分間違ったものだったということが分かりました。
 私は秋吉台の土壌は石灰岩が風化したものが堆積したもので、当然アルカリ性の強い土壌だと思っていたのですが、それはどうも違っていたようです。本で読んでも、秋吉台にはアルカリ性に強い植物が分布する、といった記述があったように思いますがそれも違っていたのかもしれません。
 そうではなく、秋吉台の土壌、特に表面に近い部分はpH4~5の強い酸性を示すのだそうです。それは、秋吉台の土壌の表面に近い50~70センチまでの部分の主な構成物は、中国大陸から運ばれてきた黄砂と火山の爆発による飛来物で、それに雨水が加わって酸性化した結果だということです。この堆積物が石灰石の基盤に乗っかっている結果、地表では強い酸性を示すことになるようです。その石灰石の部分が地上に現れているところもあり、そこではアルカリ性に傾くなど様々な構成になっているというのが実態のようです。

 このような興味深い話の後に、3番目のテーマである秋吉台の植物の現状が取り上げられました。
 講演のなかでも取り上げられていましたが、セイタカアワダチソウという植物が秋吉台に限らず、あちらこちらで繁茂しています。このセイタカアワダチソウは外来植物なのですが、平館氏のお話では1890年代に観賞用、蜂蜜採取用に移入されたのだそうです。これが1940年代から急激に広がって結果、競合相手のススキを圧倒しながら現在の姿になったということです。
 そこで面白いのは、セイタカアワダチソウを始め外来の植物は、pHがアルカリ性で必須の元素であるP(リンの化合物)が豊富な土壌を好むのだそうです。ところが秋吉台の土壌はその反対で、強い酸性でP成分が少ないという特徴があり、これは在来植物にとっては好適な環境ですが、外来植物には厳しい環境なのだそうです。

 そこで、なぜこのような不利な環境の中で、外来植物のセイタカアワダチソウが急速に繁茂することができたのだろうか、ということになります。
 その答えは、日本の土壌が変化したのではないかということでした。特にP成分が豊富になったのがその背景にあるのではないかということでした。休耕田などが特徴的なのですが、施肥によって必須の元素が豊富になったところに、手入れがなされず、その結果セイタカアワダチソウなどの外来植物が繁茂することになったという説明がありました。
 ここで言われていたのは、植物が繁茂するかどうかはその土壌の性質に大きく依存するということです。秋吉台は基盤に石灰石を持ち、その上に酸性でP成分の少ない土壌があり、なおかつそのあらわれ方が様々なことから、多様な植物群が分布しているという特徴があるということです。そのことから、逆に不用意にP成分を増やすようなことがあれば、在来の植物群を減らし外来の植物を増やすということになるということになります。

 このことは、土壌をコントロールすることにより、植生をコントロールすることも可能だということにもなります。現に、セイタカアワダチソウが生育している場所の土壌を酸化したところ、セイタカアワダチソウが衰退し代わりにチガヤ(ススキと同じイネ科の植物です)が優勢になったという実験があったそうです。
 そのように、秋吉台の固有の多様な植生を維持するためには、土壌を酸性に維持しP成分を低いレベルに保つことが必要だということになります。

 この講演会をお聞きして、生物が微妙なバランスの上に生育しているということを理解し、そのバランスには土壌が重要な役割を果たしているいうことを認識することが必要だということを知らされました。

(図は講演会の案内とセイタカアワダチソウです)

 セイタカアワダチソウは一時期喘息を引き起こすブタクサと混同されたそうですが、喘息の原因ではなく薬効があるとされ、ハーブティーに使われたり、天ぷらにするとおいしいなど、有用な植物なのだそうです。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)

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