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586.御絵伝に見る親鸞聖人のご生涯 (40):下巻補(2)

20191104西念寺s

 親鸞聖人が関東におられた頃のことをもう少し学びたいと思います。今回は、関東でのお弟子さん方に関することです。

 『御伝鈔』の記述で、関東時代の聖人とお弟子さんの様子を伝えるものは、下巻第二段の「稲田興法」および第三段の「山伏済度」でした。
 前者では、稲田で聖人はひっそりと住まわれるつもりでしたが僧尼や一般の在家の人々が次々とやって来て、門前は民衆で一杯になったと伝えられ、後者では、聖人が説かれた専修念仏に対してそれを疑ったり、そしったりする人は少なく、信じて従う人がほとんどだったと伝えられます。しかしそのような中で、聖人の命を狙った山伏がいたのですが聖人のお姿に接することによって、聖人のお弟子になったという逸話が伝えられます。

 関東で聖人のお弟子さんになられた人々はどのような人だったのでしょうか。

 平家が滅亡し鎌倉幕府が成立した1185年は、親鸞聖人は12歳の頃になり比叡山で修行されていました。1207年の承元の法難により越後国に配流となられたのは三代将軍源実朝の時代、常陸国に向かわれた1214年頃も同じく実朝が将軍の位についていた時代です。
 1221年、聖人が関東に移られてから7年の頃になりますが、後鳥羽上皇が幕府に対して兵をあげ敗れた承久の乱は、朝廷と幕府の力関係が逆転する事件となり、関東が重要性を増していった時期に当たります。それに伴い、関東では農業だけではなく商業に関わる人々も増え、社会は武士、商工業者、農漁業者といった多様な構成になっていったものと考えられます。さらにその農業従事者も、名主層から小作層までの階層化が進んでいったとされます。
 また笠原一男氏は著書『親鸞と東国農民』の中で、当時の関東の宗教のありさまについて「天台・真言等の平安仏教一色に塗りつぶされていた時である。」さらに「奈良仏教諸宗も、なお強固に自己の在立を主張し続け」ており、「また一方、神社信仰は旧仏教諸宗の発展に、勝るとも劣らぬ普及力を以て、東国農村のすみずみまで様々の神社を設置していた」とされています。

 越後から移られた親鸞聖人が説かれたみ教えは、このような関東でどのような人々に受け入れられたのでしょうか。そのことに関する具体的な記録は見当たらないようで、これまで様々な見解が出されています。

 赤松俊秀氏はその著『人物叢書 親鸞』の中で、多くの説を紹介しながらこの問題を次のように整理しておられます。
 「山田文昭氏は、門弟のうちには地方の豪族もあったが、多くは田夫野人であったと説いている。(中略)服部之総氏はそれを一歩進めて、親鸞の立場は、「領家・地頭・名主」に対立する意味の「百姓」の耕作農民に置かれていたと主張した。笠原一男氏も基本的には服部説を是認している。家永三郎博士は服部説に反対して、悪人正機の親鸞の宗教の社会的基盤としては耕作農民より武士階級の体験を重視すべきであると主張している。親鸞の宗教成立の社会的契機をなにに求めるべきかという問題については、罪悪感を重視する家永博士の論に共鳴するが、親鸞は源空ほどに武士の精神生活を高く評価しなかった。門弟としては、武士よりも名主・商人出身のものが数も多く、宗教体験の面でも彼らをより重視すべきである。」

 このように聖人が関東におられた当時、どのような人々が聖人のみ教えを受け容れ支えたのかということについては定説となるものがないようです。
 ただ、この問題は時代の流れの中で捉えられなければならないと思います。聖人が最初に関東に入られた頃、その後の期間、さらには京都に戻ることを決心された頃、それぞれの時期に聖人を支えていた人々は広がり、その結果変わっていったと考えられるのではないかと思います。
 大きく捉えると、聖人が関東に移られた当初は、その地の人々、それまで在来の仏教から取り残されていた人々の間に聖人のみ教えが浸透していったのではないかと想像しています。その後、関東の地で力を持っていた階層にも広がり、多くのお弟子さんが聖人をお支えするようになったのではないでしょうか。
 また、そのように聖人を支持する人々が広がっていくことにより、ちょうど京都で生じたようにそれに反発する人々も増えたことは容易に想像されます。さらには、聖人の周りのお弟子さんの中にも様々な動きをする人があり、そのような複雑な環境の中、親鸞聖人はみ教えを説かれていたと思われます。

(写真は、稲田の草庵跡に建てられた西念寺です。山口教務所が発行された「御絵伝に見る親鸞聖人のご生涯」のCDよりお借りしました。)

 門前の碑には、「親鸞聖人 教行信証 御制作地 浄土真宗別格本山」と記されています。同寺は宗派に属さない単立寺院です。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)
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