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572.歴史を訪ねる(22):黒五郎氏の墓

20190916黒五郎氏墓碑  20190916黒五郎氏墓碑2

 9月11日、寺の近くにある「黒五郎氏の墓」を訪ねました。

 そのきっかけは、須子正実さんという方がこの黒五郎氏の墓を訪ねられる、とお聞きしたことによります。
 須子さんは、万倉校区だより「なすの花」のいう月刊の広報誌に「万倉ものがたり」という地元の歴史を紹介する連載記事を書いておられる方です。先日、この記事に寺のことを取り上げたいと訪ねてこられて、その時にこの「黒五郎氏の墓」も話題に上りました。
 
 寺の住所は宇部市大字奥万倉字黒五郎といいますが、この字名は、今から約400年前にこの地を開拓したと伝えられる黒五郎氏の名前から来ています。
 以前、日高実夫氏が著された『寿福寺とその里』という書をご紹介しましたが、黒五郎氏はその中でも取り上げられていました。日高さんによりますと、岩﨑黒五郎と名乗っていたその人は、武士を棄ててこの地の開拓に尽くされた人だということです。

 そのお墓ですが、日高さんの記されるところでは、寺から信田の丸の城山に向かう古い道があって、その傍らの小道に何も記されていない高さ130センチメートル、幅50センチメートル、厚さ30センチメートルの傾いた自然石があったのだそうです。これが「黒五郎の墓」と呼ばれていたそうで、「触ると罰が当たるぞ」と大人から脅された記憶がある、と日高さんは書いておられます。
 大正12年頃、墓の主の黒五郎氏はこの里の開拓者で恩人なのだから墓を立て直そうという話になって、東西の黒五郎の人が共同して台石を運び込み少し離れた場所に墓碑を立て直されたということです。

 この東西黒五郎というのは、当時黒五郎は小さな小川を境に、行政区が東は吉部、西は万倉と分かれていたことを示しています。山の尾根を境界にすることが自然なように思うのですが、ここでは小さな川が境界になっていたのです。この境界に従って、目の前の家でも川のこちらとあちらでは通う小学校が違ったりするというようなこともあったいう話は他の場所でもお聞きしたことがありました。
 日頃は別々に行動していた東西の黒五郎の人は、このお墓の改修は共同でやろう、ということになったのだそうです。墓碑の改修後は、毎年8月7日に東西の黒五郎の人が集まってお勤めがなされていたと日高さんは記されています。

 当日は、寺のすぐ近くの岩﨑昌彦さん(寺の総代さんでもあります)に案内していただいて3人で出かけました。
 城山につながっていたという道から少し下りたところ、竹藪の中に墓碑はありました。

 碑の表には、 四百年前/開祖 黒五郎氏の墓
 碑の裏には、 大正十三年四月/東西黒五郎中建之 (/の部分は改行を示しています)
 と、私の祖父顕道が書いた文が刻まれています。

 黒五郎の方々が黒五郎氏に寄せておられた敬愛の思いを感じることができる碑でした。

 須子さんのお話しでは、黒五郎という名前は、もとは九郎と五郎の二人の兄弟だったのだということです。これは初めてお聞きする話ですが、確かに黒五郎という名前は妙だなと思ったこともあり、なるほど、というお話しでした。黒五郎の近くに笛太郎という地名があります。これもこの地区に縁のある人の名前だとお聞きしたことがありますが、この笛太郎氏の姓は須子氏だったとのこと、これも初めて知りました。ただし、「それは自分の家系ではなかった」と須子正実氏のお話しでした。

 墓碑のある場所に往き帰りする途中で、「ここは○○(門名です)の家があった所」という話が出ました。かつては寺の周辺のお宅のほどんどが岩﨑という姓で、通常はお互いを門名で呼んでいたとお聞きしていました。「しんや(新家)」「ふるや(古家)」「えき(駅)だろうかと子供の頃思っていたのですが(浴)かもしれません」など私も覚えている門名もありましたが、初めて耳にするものもありました。
 かつて黒五郎に住んでおられて今は宇部や小野田、厚狭などに移っておられる方が多くあります。このような人がこの黒五郎の地に住んでおられた、ということも消えてしまいそうで、それを記録に残しておくことも必要だと思いました。
 また昔は山を越えて隣の地区に通じる道が多くあったそうですが、ほとんどは今では通れなくなっています。これも、できれば一度実際に歩いてみて、記録を残しておく必要があると思いました。

(写真左は岩﨑昌彦さん、須子正実さん、右は墓碑のおもて面です)

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)
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