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559.ご紹介します(21):「秋吉台で出会った花」

20190802中沢本   20190802中沢本2

 今日ご紹介するのは『秋吉台で出会った花』という本で、著者は中沢妙子さんという方です。

 この本は、私にとっては愛読書というよりは常備本とでもいう存在です。
 梅雨が明けて、先日から天候と時間を見て(時々)山歩きをするようにしています。最近は秋吉台を歩くことが多いのですが、この本はいつもリュックの中に入っていて、途中で見かけた植物について調べる時に重宝している本なのです。

 この本には、秋吉台で見られる植物792種が取り上げられていて、写真と説明文で紹介されています。
 ご本人の言葉によれば、中沢さんは「もともと植物については全くと言っていいほど無知だった」そうですが、お住いの山口からくじゅう(久住・九重)に通って花の写真を撮ることを楽しみにされていました。その後、知人から「遠いくじゅうまで行かなくても秋吉台に行ってみては」と勧められて秋吉台に通われるようになったのだそうです。

 それからもう20年以上もの間、ほとんど毎日のように秋吉台を歩き、植物を観察し記録して来られました。「たこさんの秋吉台日記」というHPを持っておられますが、その記事によればその間に観察した植物は1554種にもなるのだそうです。
 それらの中には、植物学の定説に修正を加えるようなこともあったということです。その例として、アキヨシアザミの分類に関する文章がこの本にあります。アキヨシアザミは秋吉台に固有の植物なのだそうですが、従来はモリアザミというアザミの仲間の変種だとされていたのだそうです。しかし、中沢さんの観察結果も含めてアキヨシアザミは秋吉台特産の独立した種だという見解も出されているということです。

 中沢さんがインタープリター(解説者)として案内される植物観察のツアーが催されています。これは4~5時間で、中沢さんから植物についてお話しを聞きながら散策するという楽しいツアーで、一時はよく参加していました。
 そのツアーでのやり取りで今も覚えていることがあります。
 秋吉台のカルストロードのそばでハマヒルガオの群生を見つけたことがありました。元々は海岸に分布しているこの植物がなぜこのような高地の秋吉台にあるのだろうと不思議に思っていて、ツアーに参加した時にそのことを中沢さんに尋ねたことがありました。それに対して中沢さんから即座に答えが返ってきました。「それは海岸で採取された砂が工事に使われ、その中にハマヒルガオの種子が紛れ込んでいたのでしょう」その答えは私にとって思いもつかないものでしたが、なるほどと深く納得できるものでした。それまでの疑問が一気に疑問が解消された思いで、今もそのことを思い出します。

 この本の初版に秋吉台科学博物館名誉館長の庫本正さんが、「秋吉台の植物に憑かれた人」と題して次のように紹介文を寄せておられます。
 「秋吉台の植物熱中人がいよいよ皆様の前に現れて、体験された草花とのやりとりを語り始めたのです。この本は写真も文章も中沢さんの渾身の表現です。秋吉台の自然を歩く際、ポケットに入れておき、植物図鑑とすると同時に植物の世界の魅力を知るバイブルにしてください。」
 (ポケットにいれるにはちょっと重いかもしれませんが、全く同感です。また観察ツアーにも参加しましょう。)
 
(左は『秋吉台で出会った花』の改訂版、右がその初版です。)

 初版は2010年12月10日に発刊されました。私は2013年4月にこちらに帰ってきてこの本が欲しいと探したのですが、書店では既に売り切れとなっていました。それでやむなく必要なときには図書館で借りていました。というようなことで、こちらの版は手元にはなく、今回は厚狭の図書館から借りてきました。
 その後2014年4月1日に改訂版が出されて、求めたのが左です。ポケットならぬリュックに入れて持ち歩きましたので、擦り切れております。

 改訂版の外見は初版と同じように見えますが、内容では、取り上げられている植物に入れ替わりがあるほか、大きな違いは植物を初版とは違った分類体系で分類し直しておられる所です。植物の分類体系は、遺伝子解析の技術を取り込んで大きく変わりましたが、改訂版ではその新しい体系に従って分類されています。中沢さんは新しい体系でまとめる苦労について記されていますが、改訂版発行にはそのようなご苦労もあったことが分かります。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)
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