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505.御絵伝に見る親鸞聖人のご生涯 (19):上巻第六段

20190128法然聖人絵伝2s   

 しばらく間が空きましたが、「御絵伝に見る親鸞聖人のご生涯」です。
  今回からは、上巻第六段に入ります。『御絵伝』の第2幅、下から2番目の絵に当たり、「信行両座」の段と呼ばれています。

 この段の『御伝鈔』の御文と訳文を見てみます。最初の部分です。

 「おほよそ源空聖人在生(ざいしょう)のいにしへ、他力往生の旨をひろめたまひしに、世あまねくこれに挙(こぞ)り、人ことごとくこれに帰しき。紫禁(しきん)・青宮(せいきゅう)の政(まつりごと)を重くする砌(みぎり)にも、まづ黄金樹林の萼(はなぶさ)にこころをかけ、三槐(さんかい)・九棘(きゅうきょく)の道をただしくする家にも、ただちに四十八願の月をもてあそぶ。しかのみならず戎狄(じゅてき)の輩(ともがら)、黎民(れいみん)の類、これを仰ぎ、これを貴(とうと)びずといふことなし。貴賤、轅(ながえ)をめぐらし、門前、市をなす。常随(じょうずい)昵近(じっきん)の緇徒(しと)その数あり、すべて三百八十余人と云々。しかりといへども、親(まのあた)りその化をうけ、ねんごろにその誨(おしえ)をまもる族(やから)、はなはだまれなり。わづかに五六輩(ごりくはい)にだにもたらず。」
 
 「法然聖人が生前に他力往生の教えをひろめられたところ、世間の人びとはこぞってこの教えに傾倒し、法然聖人に帰依しました。朝廷が政治を行う際にも、まず浄土に心をかけ、大臣や公卿の人びとも弥陀の本願に思いを寄せるようになりました。それだけではなく、辺国の人びとや一般庶民もみな、法然聖人の教えを仰ぎ尊ばないものはありませんでした。貴賤を問わずみなやって来て、草庵の門前はまるで市場のようでした。法然聖人のおそば近くで親しくしている僧侶も多く、その数は三百八十数人ということでした。
 しかしながら直接に親しく法然聖人の教化を受け、一生懸命その教えを守っていこうとする人びとはたいへん少なくて、わずかに五、六人もない、というありさまでした。」


 親鸞聖人の師である法然聖人が京都の東山吉水(よしみず)に庵を構えられたのは1177年の頃だとされています。法然聖人は吉水の地で、念仏一つにより衆生が救われるという、浄土の教えを説かれました。
 時代は平安の社会秩序が乱れ、武士が台頭し血で血を洗う争いが日常的におこる時代でした。天災や飢饉も発生し、人びとはこの「末法の世」の只中で、おそれおののき、絶望するほかない境遇に置かれました。しかし、在来の仏教はこの事態を前にしても、互いに争い、利益をむさぼることに終始し、救いを求める多くの人びとの力となることはできずにいました。
 親鸞聖人が法然聖人を訪ねられたのは建仁元年(1201年)ですから、法然聖人が吉水に移られてから34年が経過した頃のことになります。
 混乱の時代の中で、誰もが念仏一つで往生を得ることができると説かれる法然聖人の教えは、身分を超えて広範囲の人びとの心に響きしみ込み、力となったことと思われます。『御伝鈔』の文にもありますように、法然聖人のもとに多くの信者が集まり、押しかけて、「門前市をなす」賑わいだったことだと想像されます。

 『御伝鈔』では、法然聖人のお傍にいた僧侶も380人を超えるという大きな集団になっていたのですが、その中で、聖人の教えを正しく受け止め、守っていこうというものは5,6人もいなかったのだ、と覚如上人は記されています。
 覚如上人は、正しく師の教えを理解し実践していこうという者が少ない中、市中の人気は高まる一方、という状況が当時の法然聖人の周辺の姿だったとされます。
 今回の「信行両座」は、そのような教団の中で生じた出来事だということになります。

(図は、当時の法然聖人の庵室の様子を描いたものです。知恩院のサイトからお借りしています。)

 法然聖人のご事跡を描いた国宝『法然上人絵伝』の中の図で、浄土宗の総本山である知恩院に伝わるものです。詞書には次のように記されています。
 「尋ね至る者有れば、浄土の法を述べ、念仏の行を勧めらる。化導日に従ひて盛りに、念仏に帰する者、雲霞の如し」

 男女の別なく、貴族や武士、一般の庶民も含めて多くの人びとが集まっている様子が生き生きと描かれています。皆が楽しそうにしていることで笑い声や喧騒が聞こえてくるような気がします。
 末法の不安の世に、法然聖人の説かれる教えが多くの人びとに受け入れられて希望と力を与えたことが感じられる図です。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください) 

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