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291.『阿弥陀経』を読む(2)

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 「『阿弥陀経』を読む」の2回目です。お経はここから同音(一同が声を出して読む)となります。

「御文」 如是我聞 (にょぜがもん)
「訓読」 かくのごとく、われ聞きたてまつりき。
「訳文」 次のように、わたしは聞かせていただきました。

 「このように私はお聞きしました」という意味の言葉は、お経の冒頭に使われる言葉です。
 『観無量寿経』も同じ「如是我聞」で始まります。『無量寿経』の方は「我聞如是」と入れ替わっていますが、同じことを表しています。

 お釈迦さまは生涯を通じて多くの教えを説かれたのですが、それは著書として残されているのではなく、その教えが言葉としてお弟子さんの記憶の中に、心の中に残され伝えられていました。
 お釈迦さまが亡くなられた後、お釈迦さまの教えをまとめ再確認する会議が開催されます。お釈迦さまの教えについて様々な解釈が出てきたり、あるいはみ教えに反する考え方が現れたりしたことがその背景にあったとされていますが、その会議はお釈迦さまから聞いた教えを皆の前で復唱し、お互いにその内容を確認しあうという形で進められたと伝えられています。

 その場合に「これは私が聞かせていただいた間違いのないお釈迦さまの教えです」としてその内容が語られたのだと思われます。それが漢文に訳されて「如是我聞」とお経の最初に来ているということになります。
 親鸞聖人は、『教行信証』の中で、「ゆゑに経の始めに『如是』と称す。『如是』の義はすなはちよく信ずる相なり。」と記され、「如是」は「善く信ずるすがた」だと説かれています。

 「如是我聞」の「我」はお釈迦さまの言葉を直接聞いたお弟子さんということになりますが、このお弟子さんは阿難(アーナンダ)という方だとされています。阿難尊者は常にお釈迦さまのそばにいて最も多くの説法を聞いた方で、上記のお釈迦さまの教えを確認する最初の会議で中心になった方でした。

 現代の私たちからみると、お釈迦さまの言葉を間違いなく記憶し、伝えるということは途方もなく難しいことのように思われます。私たちは極く普通のことのように、言葉を文字に記し、さらにはデジタルデータとして保存するということをやっていますが、そのことにより言葉を記憶するという能力を失っているのではないかと思います。
 そのような便利な技術がない時代の人々は、言葉を記憶するという能力は今の私たちよりはもっと優れていたのかもしれません。

 しかし、もう少し考えてみますと、阿難尊者にあったのはお釈迦さまの教えを記憶しなければならないということではなくて、お釈迦さまのみ教えを自分のものとしてしっかりと心にとどめておきたい、という強い思いがあったのだと思い至りました。
 そのような強い思いによって、お釈迦さまのみ教えが伝えられて、遠く時と距離を隔てた私たちにも届いていただいているのだと改めて思い起されることです。
 私たちはどうしてもお経を「覚え」ようとしますが、その前にそこに説かれていることを心に刻み込むということが必要なのだと改めて思った次第です。

 ちょっと横道にそれるのですが、この「如是我聞」の部分の訓読は『浄土真宗聖典(注釈版)』では上記のように「われ聞きたてまつりき」となっていますが、その「原典版」では「ワレキキタマヘキ」となっています。ともに謙譲の意味を表しているのですが、なぜ違っているのだろうかと思って調べてみました。
 その「原典版」に付されていた「浄土真宗聖典 彙報」という冊子に、聖典編纂の主任を勤められた瓜生津隆雄師の聖典編纂にかかわる思い出を綴られた文章がありました。その中で師は、原典版では各宗主の原典の「風格を出来るだけ残してこれを活字化することに力(つと)められてある」のですが、追って編纂される注釈版では「親しみ易からしむる努力が払われるであろう」とされて、この「たまへき」と「たてまつりき」がその例として挙げられていました。
 このことからも、聖典編纂に当たっては、原典の風格、雰囲気を残しつつ、現代人にも親しみやすいものにしたいという努力が行われていたことを知ることができました。

 瓜生津師には「聖典セミナ― 浄土三部経Ⅲ 阿弥陀経」という著書があります。あとがきによりますと平成3年から4年にかけて『大乗』誌に連載された内容をまとめられたものだということですが、今回阿弥陀経を学ぶに当たっては、このご本をテキストのように使わせていただいています。

(写真は、寺の『阿弥陀経』のお経本です)
 「巻子」の形で本堂の立経台に納められているものです。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)
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