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235.オバマ大統領のスピーチ(4)

20160627ノウゼンカズラ1   20160627ノウゼンカズラ2

 5月27日にオバマ大統領が広島で行ったスピーチについてこれまで3回にわたって見てきましたが、今回はこのスピーチに対する反応、論評について見てみたいと思います。
 大統領のスピーチに対しては色々な立場からコメントがなされています。これらの反応を見てみると、核兵器に対する考え方、戦争というものに対する考え方に大きな開きがあって、核兵器を廃絶する、戦争をなくすということ、それに向かって歩を進めることの難しさを改めて感じます。

 まず、大統領が広島を訪問しスピーチを行うことについては、米国内で様々な意見があったと伝えられています。
 大統領自身は広島を訪問したいという強い希望を持っていたといわれていますが、米国内にはそれが原爆投下に対する謝罪を意味するものになるという強固な反発がありました。米国には、原爆投下は第二次大戦を早期に終結させるために必要だったという見方が強ことによります。
 そのような背景でなされた大統領の広島訪問とスピーチは、大統領自身の強い思いと米国内の世論の動向との両方を考慮したのもとならざるを得ず、大統領は日本訪問の直前まで何度もスピーチの原稿を推敲し、スピーチは当初の予想を超える17分間のものになりました。
 この原爆投下に対する謝罪について日本政府はそれを求めてはいませんでしたし、民間の調査でも謝罪を求める声は大きくなかったと伝えられています。

 大統領のスピーチに対する反応ですが、日本での受け止め方は「よく広島を訪問してくれた」「核兵器のない世界を求めるという決意を述べてくれた」と高く評価するものでした。各党から出されたコメントも、共産党も含めて「歴史的な一歩となる行動だった」と評価するものでした。
 原爆投下に対する謝罪についても、「謝罪をしてほしいという気持ちもあったけれど、それよりも広島に来てもらって原爆の悲惨さを実感してもらい、核兵器廃絶に向けての発言があってよかった」という受け止め方が多かったのではないかと思われます。

 米国内の反応も、リベラル派を中心に訪問とスピーチを評価する声が多いという報道が中心でした。ただ、オバマ大統領のこれまでの外交を「弱腰」と批判してきた共和党の保守強硬派にはその延長線上での批判があることも報道されており、「真珠湾攻撃など原爆投下に至る歴史的背景に触れられていない」という見方もあったようです。

 ヨーロッパの各国の反応も、多くは広島訪問とスピーチを高く評価するものでした。その中には、「オバマ氏が『道徳的な革命』という新たな視点を持ち出して核兵器の人道上の問題点に踏み込んだ点で前進」だと評価するコメント(ジュネーブ安全保障政策センター)もありました。

 一方、ヨーロッパ以外の国の評価は少し違ったものになっているようです。
 中国は「日米が核抑止力に依拠した政策を取りながら、核廃絶の理想を主張しているのは矛盾している」というコメントを出しています。
 ロシアではプーチン政権寄りの報道機関からの報道は少なく、政府関係者の目だった発言もなかったようです。日ロ、米ロ間の微妙な現状の反映だと思われます。
 南アジアの核保有国であるパキスタンからは、「謝罪しなかったことで、米国は有事の際に再び核を使う考えがあることを示した」という指摘があったという報道もありました。

 韓国では、韓国政府は「他国の外交日程に関することなので大統領の広島訪問については『理解する』」としていますが、報道機関には、「大統領の広島訪問は日本の『戦争被害国イメージ』を拡大させる狙いがある」として、従軍慰安婦問題などについて免罪符にしようとしているという主張があるようです。
 また北朝鮮は、大統領の広島訪問には「『核なき世界』を改めて力説し、世界最悪の核犯罪者としての正体を隠そうという邪心がある」と非難していると伝えられています。

 このように、今回の大統領の広島訪問とスピーチは、それを実行する側にも、それ受ける側にも、それを外部から見る側にも様々な受け止め方があるものだと、改めて強く感じさせられました。

 中国が言っているように(ただその発言の真意は違うものですが)、大統領の志向には、世界最大の核戦力を抑止力として使っていながら核の廃絶を目指すという(唯一の被爆国である日本もその核の傘の元にあるという)「矛盾」があるということは間違いないことだと思います。現実の政治の中で目指すべき理想を持とうとすると、どうしてもそのような矛盾の中で判断し行動せざるを得ないということは、前回までに見てきたところです。  
 このような矛盾の中にあるということを安易に受け入れるのではなく、常にそれを認識しながら、一歩でも望ましい方向に進むという現実的な行動をとることが必要だと思われます。

 大統領が、人類が互いに争いあうという「本能」をそのままにして核兵器という破壊的な力を持つに至ったことを指摘し、その対策について提言し、核保有国が負わなければならない責任について言及していることに関する報道は余り見られないように思いました。
 その対策については、私たちがこのような「本能」(「煩悩」)を等しく持っていることを認識することから始め、具体的な方策を共同して検討する必要があるように思います。このことも利害が厳しく対立する現実の中では非常に難しいことだと思われますが、一歩でも進むことを目指さなければならないと思います。

(写真は、ノウゼンカズラです。)

 ちょうどこれから花期を迎える植物です。右はアメリカノウゼンカズラという種で、左のものに比べて花は小ぶりで細長いのが特徴です。
 ノウゼンカズラは中国原産の植物で、漢字では「凌霄葛」。凌霄は「霄(そら)を凌(しの)ぐ」の意味で、蔓によって高く伸びるところから来ているということです。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)
 

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