FC2ブログ

178.公開講座「寺院と公共性」

20151211公開講座

 12月8日、山口別院で山口教区門徒総代会主催で開かれた公開講座に出席してきました。

 ご講師は浄土真宗本願寺派総合研究所副所長の藤丸智雄氏で、「寺院と公共性」という演題で次のようなお話を伺いました。

 この「公共性」というのは、私たちが生きていくうえで拠り所となる場所、私たちが住みやいと感じることができる場所で、宗教は「心のインフラ=社会関係資本」として今後ますます重要になってくる。
 公共の「公」の字も「共」の字も漢字の部首でいうと「八(はちがしら)」部に属していて、「八」は「広がる」という意味を持っている。寺院の公共性も、現在の社会の中で外とのかかわりでどれだけ「開かれた存在」となれるのか、ということが問われている。

 この「開かれている」かどうかを次のキーワードでチェックしてはどうか。
 ・外が見える=寺から社会の動きが見えているか
 ・外から見える=外から寺の中がよく見えているか
 ・外へ出られる=寺から外に踏み出して働きかけができているか
 ・出入りできる=寺に容易に出入りできるか(物理的にも心理的にも)

 このような観点から、様々な提案をいただきました。寺院の活動、行動についてもう一度上記のようなキーワードに従って見直す必要がある、と改めて感じました。

 また、このお話の中で印象に残ったことが多くありました。これも心にとどめておきたいと思います。

 「ごうなことよのう」という言葉がありますが、この言葉は広島、山口あたりで使われているのだそうです。「ごう」は「業」で、「人間のふるまい」を表す言葉で、相手の褒められるようなものではない行動に対してそれを非難するというよりは、「お互いに人間だものなあ・・・」「人間のすることだものなあ・・・」と受け止めるような語感を持った仏教のやさしさを表した言葉だというご講師の言葉が印象に残っています。
 広島で原爆に遭って重傷を負った息子の背中を、母親がこの「ごうなことよのう」と言いながら水で冷やし続けていたという実話が紹介されていました。原爆を投下したアメリカを非難するのではなく、このようなことにまで至ってしまった人間の「業」を母親は見ていたのだとご講師は語られました。

 「寺は欲や怒りに連れられて参るところ」という言葉もありました。誤解を受けるかもしれませんが、ご講師の「キリスト教の教会になくて寺にあるもの、それは愚痴です」という言葉も印象に残っています。
 心が清らかだから寺に参るのではない、心が安らかだから寺に参るのではない、抑えきれない欲や怒りや煩悩を持っている人がいるからこそ寺が必要とされている。お寺は、そこで愚痴を言ってもかまわない、やさしい居心地のよい場所でなければならないと受け止めました。

 で、その寺(僧侶)の方ですが、相談しやすい僧侶、そうでない僧侶ということで実際に調査されたことがあるのだそうです。
 その結果では、すぐに教義の話をする、上から目線で高圧的に「それはだめ、こうしなさい」という、というのが相談したくない僧侶像なのだそうです。逆に相談を受けて、「うーん困ったですね、難しいですね、辛いでしょうね・・・ちょっと考えてみましょう」と受け止めることが大切だと話されました。耳を傾けることの重要性についてもう一度見直さなければならないと感じた次第です。

 講演の後に質疑の時間があり、総代さんの出席者から今回の安保法制に対する宗門の姿勢について質問がありました。
 これに対してご講師からは、「総合研究所から『平和に関する論点整理』を公表し論議を進めることとしている。宗門の方々も自分のこととして一緒に考えてもらいたい」という趣旨の回答がありました。ご講師は、この『論点整理』作成の中心になられた方だということです。
 このご講師の回答を聞いて、私たちは「宗門は安保法制に賛成するのか反対するのか」といった問いを安易に「宗門」に投げかけてしまっていたのではないか、と思い至りました。
 大切なことは、宗門の全員が自分のこととして、釈尊の示された、戦争や他者を傷つけることに関するみ教えを現在の社会の中でどのように考え実現するのか、そしてそのためにどのような行動をとるのか、ということなのだと思いました。

 この『論点整理』が掲載されている本願寺の『宗報』の11・12月号が手元に届いたところです。またご一緒に内容を学びたいと考えています。

(写真はご講師の藤丸智雄氏です。)

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)
 
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

カウンター
カテゴリ
検索フォーム
リンク
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
最新トラックバック
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR