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705.ご門主の「年頭の辞」です

20210101ご門主一家s 

  慈光照護のもと、新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。『本願寺新報』の1月1日号に掲載されましたご門主の「年頭の辞」をお伝えします。

 新しい年のはじめにあたり、ご挨拶申し上げます。
 昨年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に大流行し、多くの方が犠牲となられましたが、いまだその収束が見通せません。ここに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、罹患されている皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また、感染リスクが高い中、懸命に治療・対策にあたられている医師、看護師をはじめとする医療従事者の方々、ライフラインの維持に努められている方々に深く敬意と感謝を表します。
 昨年7月の「令和2年7月豪雨」では、熊本県をはじめ各地において甚大な被害が出ました。自然災害によって犠牲になられました方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。被災者の方々が一日も早く、日常の生活を取り戻されることができますことを願っております。
 仏教を説かれたお釈迦さまは、「物事は必ず何らかの原因があり条件があって生じ、存在している」という存在に関する普遍的な原理を「縁起」として示されました。私たちは、自分一人で生きているのではありません。周りのすべての方々とのつながりの中、お互いに支え合って生活しています。日本では、自分や周りの方、そして地域を感染拡大から守るために「新しい生活様式」の実践が呼びかけられています。新型コロナウイルス感染症が終息しない現状にあって、この世界のありのままの姿である「縁起」の道理を深く心に留めたいと思います。
 本年も阿弥陀さまのおはたらきを聞き、「新たな日常」を過ごしてまいりましょう。


(写真は、ご門主ご一家です。『本願寺新報』の1月1日号からお借りしました。)

 向かって左から、前裏方さま、前門さま、ご門主、ご長男敬(たかし)様、ご長女顕子(あきこ)様、お裏方です。

(このブログは毎週2回、月曜日と金曜日に新しい記事を載せる予定ですので、また覗いてみてください)
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619.母が亡くなりました(2)

 20200306オオガハスs

  母の葬儀が終わってから2週間が経過しました。その間に2人のご門徒さんが亡くなり葬儀をお勤めしたこともあって、バタバタとしてあっという間だったように感じています。
 これまでもご門徒さんのお宅でお別れのお勤めしてきましたが、気づいてみると実質的に自身が喪主となった葬儀は初めてでした。30年以上前に父が亡くなった時も喪主は私になっていましたが、寺から離れていたこともあって内容にはほとんどタッチせずに任せきりの葬儀でした。
 ご門徒さんはこのようなことについても悩みながら判断されていたのだ、と今回初めて気づいたこともありました。

 その中の一つは、「終末医療」に関わることです。

 母はもともと心不全で心臓が肥大するという症状を持っていましたが、昨年11月末に、日ごろからお世話になっていたかかりつけの医師の勧めで総合病院に入院することになりました。
 入院してしばらくして食が細り、ほとんど食べ物を受けつけなくなりました。そのような状況で、担当の医師から以後の治療方針について説明を受けました。
 食事ができていない現状では必要な栄養が摂取できないので、今後の治療方法として、胃に管を挿入して栄養を与える、鼠径部の血管に点滴をして栄養を与える、現状の点滴(これには栄養分を与える効果はないのだそうです)を続けて様子を見る、の3つが考えられる。どれを選択するかご家族で検討してもらいたい、ということでした。

 食事ができていない母は、一気にやつれたように見えていました。この医師の説明を聞いて、鼠径部の血管への点滴で栄養を与える方法を選択したいと医師に回答しました。医師の意見もその方法がよいと思う、ということでもあり、「そうすれば元気になられますよ」という言葉も後押しをしていたように思います。また、胃に管を通して栄養を補給すること(胃に直接栄養を送る胃ろうという療法に近いイメージがありました)に比べて点滴の方が穏やかな療法のように思えたこともその判断の背景にあったように思います。

 母は血液の凝固を防ぐ治療も行っていましたので、鼠径部の血管に点滴を行うためには出血を防止するための予備の処置が必要だということで、点滴のための処置は翌週に行うことになりました。
 医師にその意思を伝えた後に、この判断が本当によかったのだろうか、という思いが起こりました。点滴で栄養を与えて「元気に」なったとしてもそれは点滴で維持されている「元気」であって、心臓を始めとする病気が治癒するわけではありません。このような治療を母は望んでいるのだろうか、母を苦しめることを長引かせるだけではないだろうか、という思いが強くなっていきました。母の意思とは関わりなく「元気な」姿を見たいと思っているのは私たちの勝手な願望ではないかという思いです。

 30数年前に父はがんで亡くなりました。病状が悪化したときに、人工呼吸器をつけることもできるという提案が医師からあったという話を思い出しました。直接聞いたわけではないのですが、母はそれを断ったということでした。母は父のがんをなんとかできないかと、治療についてあちらこちらに尋ねて回っていたということも聞いていました。苦しい呼吸をしている父を前にして、人工呼吸器はいらない、と判断した母です。今回自分についても「もう食べたくない、もうこれでいい」と言っていた母ですから、点滴で「元気になる」ことは望んでいないのではないかと思いました。
 
 鼠径部への点滴を依頼してから2日後に再度医師に時間をとってもらって、鼠径部への点滴は行わずに現状の点滴のみでお願いしたいと話をしました。医師からは、現状の点滴だけでは栄養失調となるが、食欲が回復することを期待して消化薬を変えてみようと言っていただきました。
 その後、前回の記事でも書いていましたように、母の食欲は改善して、看護師さんの言葉によると出された食事を「完食」するまでになったということです。しかし、母はその後急性心不全により亡くなりました。

 医師に鼠径部への点滴治療を依頼してから、私は以前山口別院で聞いた公開講座の講話を思い出しておりました。
 患者を救いたいという医師の使命感と元気でいて欲しいという家族の望みの両方に従って、高度な医療技術は寿命を延長することを可能にしましたが、それが患者の意思とは別に進められて結果として患者を苦しめているのではないか、というお話でした。医療技術が現在ほど進んでいなかった時代には、食事が摂れなくなればそれが自然の死につながっていて、患者は「延命治療に伴う苦痛」を感じることなく命を終わることができました。現在ではそのような死を可能にするためには、家族が単なる延命治療を断るという強い意志を持たなければならない、ということになるのでしょうか。

 もう一つ、母が亡くなってから思い起したことがあります。
 それは、これもこのブログでご紹介した本「動的平衡」の中に紹介されていたことです。
 著者の福岡伸一氏は、人間の体はちくわのようなものだと言っておられました。一方の口から食物を摂り入れて他方の口から排泄しても、それはまだ体に取り入れたことにはならない、ちくわの本体の中に吸収されて初めて体内に取り込まれたことになるのだ、というお話でした。
 その観点から見ると、胃に管を通して栄養を補給することはちくわの体内に栄養を送り込むことにはならないことになります。一方、鼠径部の血管に点滴を行って栄養を送り込むことはちくわの本体に直接栄養を送り込むことに相当します。私は、前者の治療に対して抵抗感のようなものを感じていたのですが、後者の方が患者の意思とは別に、延命を行う治療に当たるものだったのかもしれません。

 このように思い返しながらも、今回の判断が本当によかったのだろうという思いも引き続き残っています。
 生老病死と4つの苦をいいますが、自分自身だけでなく近しい人の生老病死も、私自身の身勝手さ、弱さを浮き彫りにするものだということを実感させられました。母の死を目前にしてこのように悩んだことを忘れてはいけない、と思っています。

(写真は、オオガハスです)

 オオガハス(大賀蓮)は、大賀一郎博士が今から2000年以上前の地層で発見されたハスの実から育てられ開花したものです。
 大谷本廟で咲いていたものです。

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617.母が亡くなりました

20200224祭壇

  2月20日、前坊守の母、杉慶子が浄真院釋妙慶の法名をいただいてお浄土に還りました。満95歳でした。一昨日22日に通夜、昨日23日に葬儀をお勤めしました。

 昨年末に体調を崩して入院し一時は食欲も細るという状態でした。それでも最近は出された食事も「完食」(看護師さんの言葉です)するようになっており、少し安心していたのですが、20日に心不全にて急逝いたしました。
 通夜および葬儀にお参りいただいた方々、弔意をお寄せいただいた方々、お世話いただいた方々ににこころよりお礼申し上げます。

 母は、子供の頃は木登りが得意な活発な女の子だったそうです。峠を越えた隣のお寺から父のもとに嫁いできました。
 父は高校の教師をしていましたので、母は転勤する父を支え私たちを育て、父が教員を退職して寺に帰ってからは坊守として住職の父を支えてきました。しかし、結婚して30余年、母が60歳の時に父が63歳で亡くなりました。
 その後、母は寺を守ってくれました。父の死後、得度し、教師の資格を得ました。また、60歳で運転免許をとったのですが、教習所では女性の免許取得の最高齢記録だったとお聞きしています。頑張り屋の母でもありました。
 また、平成4年には、多くのご門徒さんのご協力、ご尽力をいただいて本堂の屋根の葺き替え、補修の事業を実施しています。
 このように、父が亡くなってから30有余年、多くの皆さまに力をいただいて母は寺を支え、み教えを伝えることに力を尽くしてきました。
 改めて、皆様に厚くお礼申し上げます。

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602.ご門主の「年頭の辞」

20200101ご門主ご一家s

  皆様、明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 『本願寺新報』の1月1日号にご門主の「年頭の辞」が掲載されていますので、ご紹介します。

 「新しい年のはじめにあたり、ご挨拶申し上げます。
 近年、日本各地では豪雨や台風などの自然災害が頻繁に発生し、家屋の倒壊や流出、浸水などで多くの被害者が出るなど甚大な被害がもたらされています。本願寺派でも寺院や門信徒の方々が多数、被害に遭われています。ここに、このたび犠牲になられました方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。
 さて、宗門では2023(令和5)年3月29日から5月21日までの5期30日間にわたり、「親鸞聖人御誕生八百五十年 立教開宗八百年慶讃法要」をおつとめすることになり、昨年11月よりご法要修行に向けた準備が本格的に始まりました。ぜひ、多くの皆さまに本願寺へお参りいただきたく思います。
 この法要をおつとめすることができるということは、親鸞聖人がみ教えを説かれて以来、今日の私たちまで約800年にわたり、み教えが連綿と受け継がれてきたということを意味します。それは、いつの時代においても、み教えが多くの先人の方々の生きる支えとなってきたからです。
 いかに科学技術が発達し、私たちの生活の質が飛躍的に向上したとしても、煩悩具足の凡夫であるという人間の本質が変わらない以上、これからの時代においても、浄土真宗のみ教えは私たちの生きる依りどころとなります。
 本年も浄土真宗のみ教えを聞き、ご縁のある方々へみ教えを伝え、南無阿弥陀仏とお念仏申す日々をともに過ごさせていただきましょう。」


(写真はご門主ご一家です)

 『本願寺新報』に掲載されていたものです。
 左から、前裏方さま、敬さま、前門さま、ご門主、顕子さま、お裏方です。

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499.ご門主の「年頭の辞」

20190104ご門主一家 

 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
 本願寺新報』にご門主の「年頭の辞」が掲載されていますので、以下その内容をお伝えいたします。

「新しい年のはじめにあたり、ご挨拶申し上げます。
 昨年は4月の島根県西部地震に始まり、大阪府北部地震、平成30年7月豪雨、台風20号・21号、北海道胆振東部地震など大規模な災害が立て続けに発生し、日本各地で多くの方が被害に遭われました。犠牲となられた方に衷心より哀悼の意を表示しますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。また、世界ではインドネシアにおける地震と津波、北米における大型ハリケーンなど多くの自然災害が起こり、加えて昨年11月にはカリフォルニア州で州史上最悪の大規模な山火事が発生し、多数の犠牲者、行方不明者がおられるほか、大勢の方々が避難生活を余儀なくされています。そして、これら以外にも紛争やテロ・飢餓などによって、日々多くの方が犠牲となり、困難な生活を送っておられることも忘れてはいけません。
 さて、宗門では「<貧困の克服に向けて~Dana for World Peace~>ー子どもたちを育むためにー」という取り組みを始めています。阿弥陀さまのおはたらきの中で、自己中心的な身であるということを知らされている私たちであるからこそ、私を悲しんでくださっている阿弥陀さまのお心を思えば、その生き方は、他者の喜び悲しみを自らの喜び悲しみとするような生き方へ転ぜられるのではないでしょうか。そして、そこから社会の諸課題に積極的に取り組むという姿勢も生まれてくると思います。
 本年も浄土真宗のみ教えを聞き、南無阿弥陀仏とお念仏申す日々をともに過ごさせていただく中で、課題に向き合う1年にいたしましょう。」


(写真は、ご門主ご一家です。『本願寺新報』に掲載されていたものです。)

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